朝晩の冷え込みが増してくるこの時期、マンションの居住者から「窓のまわりがスースーする」「ヒューという音がする」といった声が管理組合や管理会社に寄せられることがあります。こうしたすき間風は、サッシ本体の寿命ではなく、気密材などの部品の劣化が原因であることも少なくありません。本格的な冬を迎える前に、原因と対策を整理しておきましょう。
すき間風はどこから入ってくるのか
引違い窓は、2枚の障子(ガラスがはまった可動部分)が左右にスライドする構造のため、障子と窓枠、障子同士の重なり部分にわずかなすき間があります。このすき間をふさいでいるのが「気密材」と呼ばれる部品です。
主な気密材の種類
- モヘア(毛ブラシ状の部材):障子の召合せ(2枚が重なる部分)や、障子と枠が接する部分などに取り付けられ、障子の開閉を妨げずにすき間をふさぎます。
- 気密ゴム・パッキン類:障子と枠が接する部分に取り付けられ、閉めたときに密着して風や音の侵入を抑えます。
- グレイジングビード・グレイジングチャンネル:ガラスと障子の框(かまち)の間に取り付けられ、ガラスを保持するとともに、ガラス周囲のすき間をふさぐ部材です。
これらの部材は、材質や取り付け位置によって程度の差はありますが、紫外線や温度変化、開閉時の摩擦、経年などによって少しずつ劣化していきます。
気密材が劣化するとどうなるか
築年数が経過したマンションでは、次のような症状が見られることがあります。
- モヘアの毛が寝てしまったり、すり減ったりして、すき間ができている
- ゴムが硬くなり、ひび割れや縮みが生じて枠との間にすき間ができている
- 強風の日に窓から笛のような音がする
- 窓際だけ冷たい空気が流れ込み、暖房が効きにくいと感じる
すき間風は寒さだけでなく、外の音が入りやすくなる、ほこりや花粉が入り込むといった不満にもつながります。外部の騒音が気になる場合については「外の音がうるさい」でも解説しています。
気密材以外の原因もチェック
すき間風の原因は気密材だけとは限りません。次のような部品の不具合が重なっている場合もあります。
クレセントの締まりが甘い
クレセント(締り金具)は、引違い窓の2枚の障子を施錠する金具です。製品やサッシの構造によっては、施錠時に障子同士を引き寄せる働きもあります。受け金具とのかみ合わせがずれていたり、部品が摩耗していたりすると、しっかり閉めたつもりでもすき間が残ることがあります。詳しくは「クレセント(締り金具)がかからない」をご覧ください。
戸車の摩耗による障子の傾き
障子の下部にある戸車がすり減ると、障子が下がったり傾いたりして、枠との間にすき間が生じることがあります。開閉が重くなっている場合は、戸車の劣化も疑ってみてください。
サッシ交換の前に、部品交換という選択肢
「すき間風がひどいから、もうサッシごと交換するしかないのでは」と考える方も少なくありません。しかし、アルミサッシの枠自体は丈夫なことが多く、すき間風の原因が気密材や戸車、クレセントにある場合は、部品を交換するだけで気密性が改善するケースがあります。
当社の窓OH工法では、既存のサッシを活かしたまま、劣化したモヘアや気密ゴム、戸車、クレセントなどを交換・調整し、窓の機能回復を図ります。サッシの全面交換に比べて工事範囲を抑えやすく、工期や費用、居住者への負担を軽減できる場合がある点が特長です。
管理組合・管理会社としての判断ポイント
- 症状の広がり:特定の住戸だけか、建物全体で同じ症状が出ているか。複数の住戸で同様の症状が見られる場合は、原因を確認したうえで、一斉交換を検討する価値があります。
- サッシ本体の状態:枠や框に大きな変形や腐食がなければ、部品交換で対応できる可能性があります。
- 修繕計画との関係:大規模修繕までの期間や、長期修繕計画でのサッシの位置づけを踏まえて、部品交換で機能を維持するか、更新を検討するかを判断します。
- 窓の管理区分:多くのマンションでは窓枠や窓ガラスは共用部分とされています。管理規約で区分や費用負担のルールを確認しておきましょう。
冬本番の前に、まずは窓の診断から
すき間風は、居住者が日常的に感じる不快感の一つです。寒さが本格化してから対応しようとすると、工事の調整に時間がかかることもあります。原因が気密材なのか、戸車やクレセントなのか、あるいはサッシ本体の更新が必要な状態なのかは、実際に窓を確認しなければ判断できません。
窓のドクターでは、マンションの窓の劣化状況を診断し、部品交換で対応できる範囲と、その効果をわかりやすくご説明します。「サッシ交換しかない」と決める前に、まずはお気軽にご相談ください。
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